ライフネット生命 定期育成採用

プロジェクトストーリー02

多様性を尊重する日本へ
保険金受取人指定範囲拡大
プロジェクト

同性パートナーを受取人に

  • 原 由美子
    営業本部 マーケティング部 広報グループ
    2014年10月入社

  • 川越 あゆみ
    経営戦略本部 経営企画部 マネージャー
    2008年1月入社

  • 馬場 宏司
    お客さまサービス本部 お客さまサービス部長
    2007年4月入社

発端は、声なき声。

2015年の11月4日、ライフネット生命は死亡保険金受取人の指定範囲を拡大。同性パートナーを指定できる日本初の生命保険として新たな一歩を踏み出すことになった。当初、記者会見は10名ほどの報道陣を想定し準備を進めていたが、蓋を開ければテレビカメラ含め50名を超える報道関係者が集まったと言う。
「正直、こんなに大勢の方に集まっていただけるとは思っていませんでした。発表後は連日、テレビや新聞などで大々的に取り上げていただきましたし、なかには『社会が変わる瞬間を見ました』と熱いメッセージをくださる記者の方もいたんです」と語るのは広報を担当した原由美子。同性パートナーへの死亡保険金受取人の指定範囲拡大は保険業界のみならず、映画業界や音楽業界の媒体でも取り上げられ、ジャンルを超えて大きな話題となっていった。
プロジェクトリーダーを務めた川越は「おそらく多くの方が心のなかで私たちと同じ想いを抱いていたのだと思います。大げさかもしれませんが、これは保険の話ではなく、人の生き方、尊厳、社会のあり方を問うものだったのではないでしょうか」と振り返る。同プロジェクトの発端は今から2年半以上前。「当時はまだあまり社会的にも注目されていませんでしたが、保険を検討している方から『同性パートナーを受取人にしたい』という問合せがちらほらと届いている状況でした。もっと多くの方が同じ気持ちなのではないか。そんな声なき声をかたちにしたかったんです」。
創業時から多様性を大切にしてきたライフネット生命が、マイノリティと呼ばれる人々の声を大切な課題として受けとめたのはある種の必然だった。「必要な人たちに、必要な保険を届ける。当たり前のことをやろう。それがすべての始まりでした」。

かたちにすることを、あきらめない。

川越はさっそく周囲の同僚に相談、チームを組織していった。社内の多くが賛同したものの、プロジェクトは最初から大きな難問にぶつかることになる。
「川越から依頼が来たときは、思わず『えっ!?そこに挑戦するの?』と声に出してしまいましたね」と話すのはスキームの設計や確認書類作成に携わった馬場宏司。「保険金をお支払いするためには病院の診断書等がどうしても必要になってきます。原則、医療現場が死亡診断書を渡すのは家族もしくは血縁関係者です。指定範囲を拡大して、結果的に保険金が支払えなかったなんてことはあってはならない。慎重にならざるをえませんでした」。
しかし、ここで挑戦をやめるライフネット生命ではない。川越と馬場は可能な限りデータを取りに行った。「医療関係者、法律関係者など多方面の専門家や保険業界関係者に協力をあおぎ、議論を重ねました。同時に大規模な大学病院から小さな病院までヒアリングを実施しました」。その結果、実際には事実婚、内縁関係のパートナーには診断書を発行しているというケースも見えてきた。ならば、同性パートナーの場合も適用可能にできそうだ。「もちろんこれだけでは充分とは言えませんが、当社として大丈夫だと判断できるまで仕組みを整備していきました」。

人生に、大切なことを、わかりやすく。

もうひとつ。ライフネット生命がこだわり抜いた点がある。「渋谷区など自治体のパートナーシップ証明書などを必要条件とするかどうかについては社内でも議論がありました」と語る川越の言葉に、馬場もうなずく。「証明書があれば当社としては審査もしやすく、手間もかからない。でも、たとえば渋谷区のパートナーシップ制度自体はすばらしいのですが、保険加入のために証明書を取得してもらうとなると労力もお金もかかりますし、なによりその自治体に住む方でなければ申請もできません。これでは私たちが掲げている“必要な人に必要な保険を届ける”とは遠いものになってしまいます」。
ライフネット生命がかかげる言葉のひとつに、「人生に、大切なことを、わかりやすく。」がある。川越と馬場は全国の人が利用できるように、自社独自の確認書を提出してもらうスキームを採用。加えて、医療機関から死亡診断書等の保険金請求に必要な書類をもらう際にスムーズにいかない場合は、ライフネット生命が合理的な範囲でサポートすることにした。
こうして迎えた2015年11月4日、ついに発表会の日がやってくる。「多くの社員が、多くの熱量でかたちにしてきた仕事。広報としては、最後に渡されたバトンを受け取って、全力疾走するのみでした」と語る原は、Webサイトやプレスリリースの原稿を一言一句チェックし、伝えたいメッセージが誤解されないよう最大限の注意を払って準備したと言う。
「このテーマはデリケートな一面もありますし、正直『流行にのっているだけ』と受けとめられる可能性もゼロではなかった。しかし、結果として『受取人を同性パートナーに変えたい』『当事者ではないが、ライフネット生命に加入していることを嬉しく思う』といった声をいただけていますし、私たちの挑戦には大きな価値があったとホッとしています」。
自治体の取り組みをきっかけに、LGBTに対する社会的な関心が高まり続けている日本。多様性を尊重する社会へ。このプロジェクトが、その一助になったことは間違いない。