人間が創ったものは、社会であれ国家であれ企業であれ、すべからく人間に似ています。人間が生きていく上で最も大切なことは、多様性を維持することだと思います。同質な社会や企業ほど脆いものはありません。 当社は、100年続くグローバルな企業を目指して、出来るだけ多様なバックグラウンドを持つ人材を求めています。大学院生や卒業後社会に出て様々な経験を積んだ人、新卒者など、国籍や性別など条件は一切問いません。ただし、意欲と能力と人柄だけは厳しく問いたいと考えています。だからこそ、今回の採用では「重い課題」を出しますので、それに対する皆さんの渾身のレポートを楽しみに待っています。
ある講演会にて、私と出口の対談を聞いた方から、「まるで熟年の夫婦を見ているようだ」という風に言われました。確かにライフネットの黎明期からずっと、狭いオフィスで朝から晩まで傍にいて、様々な苦労を共にし、今でも1日に1時間は会話をしているので、きっと長らく連れ添った2人のようになっているのでしょう。出口は私にとって、起業のパートナーであり、経営の師であり、家族ぐるみで付き合う親友でもあります。これまでの3年間で、職業人としてのあり方、世界の見方、人生の過ごし方について、多くのことを教わりました。今でも、公私にかかわらず迷うことがあると、真っ先に相談する相手でもあります。 大先輩たちの叡智を活かしながら、若手がスピード感を持って新しいものを創っていくことで、日本は大きく変わるのではないか。30代と60代の世代を超えたコラボレーションが生み出しうる可能性を、2人で身をもって示してみたいと思っています。
出口治明/日本生命保険出身。90年代には「ザ・セイホ」の旗頭として生命保険業界の取りまとめ役を務めた。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て退職後、かつてから抱いていた日本国内の生命保険ビジネスへの疑問を胸に、ネット生保を岩瀬とともに起業。還暦ベンチャー。
「ネット生保のような単純なビジネスモデルで、ライフネットはどうやって差別化していくのか?」。このように聞かれることがありますが、私はいつも以下のように答えています。 「差別化の決め手は、志の高い人材に仲間に加わってもらい、彼らに最大限の力を発揮し続けてもらうことしかない」 たとえば、「ネットで本を売る」というのはいかにも簡単なアイデアで、大手書店も含め多くの会社が参入しましたが、結局はアマゾンドットコムが「独り勝ち」に近い状態を占めました。同社のビジネスモデルは、優れた発明のようなイノベーションとは言い難いかもしれません。あるのは、どこよりも優秀な人材が、お客様の利便性を上げるためのちょっとしたカイゼンを、どこよりも早く、そして気が遠くなるほど徹底して、進めてきたのです。 保険会社には、人材と紙とコンピュータしか資産はありません。私たちは経営者として、ライフネットで働く一人ひとりの仲間が、ちょっとずつ背伸びをした責任と権限を持ち、金融業界の地図を塗り替えていく壮大な挑戦、個人マネーの動きを変えていくワクワクする仕事に携わりながら、継続して成長していける環境を提供することを約束します。
2人でライフネット生命を創り始めてから、早くも、3年以上の月日が流れました。パートナーとしての岩瀬君の優れたところは、何よりも素直であることだと思います。彼のような優秀なバックグラウンドを持つ人間が、素直であり続けることは、実は大変難しいことだと思っています。旅の仲間には、お互いの信頼感が何よりも強く要請されます。僕と岩瀬君は、親子ほど年が離れていますが、正直なところ、この3年間に年の差を感じたことは、一度もありませんでした。それほど、信頼感が強かったということでしょう。得難いパートナーを得たことを、いつも感謝しています。 なお、私と岩瀬君の2人の出会いについては、拙著「直球勝負の会社」の中で詳しく触れていますので、皆さんにもぜひ読んでいただければと思います。
岩瀬大輔/ボストン・コンサルティング・グループ出身。東大在学中に司法試験合格、ハーバード・ビジネス・スクールでは日本人4人目のBaker Scholarで卒業。出口の意志に賛同し、ライフネットの前身である「ネットライフ企画」設立に参画。実業家として著書も多数。